東北夢の桜街道

10代目の有賀義裕蔵元杜氏は、上野の韓国料理店で飲んだ生マッコリの味が忘れられず、日本人の食生活や嗜好に合わせた、＜虎マッコリ＞という名の、低濃度活性純米酒を10年ほど前に商品化し、首都圏の焼肉店の定番酒となっている。口に含むとさわやかな酸味が広がり、「甘くなく、ごくごく飲めるような酒を作りたかった」と話す有賀当主の言葉どおり、見た目と違うライトな飲み口だ。微発泡の自然の炭酸が心地よく、ハンバーガーにも合いそうである。独自の視点をもった酒造りのDNAは、二人の息子さん達にしっかりと受け継がれ、兄で専務の一裕さんの企画力と、弟で杜氏の裕二郎さんの新世代としてのこだわりが、カレーに合う日本酒づくりへの挑戦など、これからの伝統酒づくりに余念がない。